
電車が遅れる「異音の確認」では、実際には動物との衝突が原因になっているケースが多くあります。
- どんな動物とぶつかるのか?
- ぶつかったらどう対応しているのか?
- どのくらい遅れが出るのか?
この記事では、元運転士の経験をもとに、電車と動物の衝突の実態や現場での対応、そして事故を減らすための対策までわかりやすく解説します。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
この記事の目次
異音の確認の原因は動物との衝突が多い
異音の確認の中でも大きな割合を占めるのが、動物との衝突です。
特に夜間は視界が悪く、小さな動物と衝突しても何とぶつかったのか判別できないため、電車を止めて点検しなくてはなりません。
また、シカなどの大きな動物の場合は、車両や線路に影響を与える可能性があるため、必ず停車して確認を行い、必要に応じて運転士が線路外へと移動させます。
電車と小動物との衝突

比較的多いのが、ハト・タヌキ・ネコなどの小動物です。
昼間に小動物と衝突したことが明確な場合、車両や線路に支障が出る可能性は低いため、そのまま運転を継続することが一般的です。
私自身も動物が好きな方なので心苦しい部分はありますが、停車しても対応できることは限られているのが実情です。
一方、夜間などで衝突した対象物が不明な場合は、人や障害物との接触の可能性も否定できないため、必ず停車して線路と車両の点検を行います。
点検した結果として、ハトやタヌキ、ネコが原因だったということはよくあるケースです。
この確認により、10分〜20分程度の遅れが発生します。
また、まれに飛んでいる鳥と衝突した際、運転席のガラスが割れてしまうことがあります。
この場合は係員による応急処置(養生)が必要となり、運転再開までさらに時間を要することもあります。
電車と大きな動物との衝突

大きな動物の中で特に多いのがシカです。
運転士が線路外へ移動させることができれば比較的早く運転を再開できますが、車両の下に入り込んでしまって移動が難しい場合、対応に時間を要します。
また、イノシシ・クマなどの場合で、なおかつ生きている場合は危険が伴います。
運転士単独での対応は難しく、他の係員や警察、猟友会への要請が必要になることもあります。
このようなケースでは、運転再開までに長時間かかることもあります。
動物の死骸はどうする?
小動物の場合は、線路を巡回する係員が鉄道敷地内に埋めるケースが一般的です。
一方で、大きな動物については現地で埋めることが困難なため、専門業者への引き渡しや、鉄道会社によって処分が行われます。
動物との事故を減らす対策
このように動物との衝突は電車の遅れの大きな要因となっており、鉄道会社もできるだけ減らすように対策を行っています。
侵入防止柵の設置
動物が線路内へ侵入しないよう、防護柵を設置します。
場所によっては電流の流れる特殊な柵、電気柵が使われることもあります。
忌避剤の散布
動物が嫌がる成分を含む薬剤を散布し、線路付近に近づかないようにします。
忌避音装置の設置
線路付近に動物が嫌う音を発する装置を設置したり、車両側にスピーカーを取り付けたりすることで動物の接近を防ぎます。
あとがき
運転士になって実感したのは、「タヌキは都心含めてどこにでもいる」ということです。
野生動物との衝突は地方だけの問題ではなく、都市部を含めて全国的な課題です。
動物にとっても不幸な出来事であり、対応する係員の負担も大きく、さらに列車の遅れによって利用者にも影響が出ます。
簡単に解決できる問題ではありませんが、少しでも事故が減ることを願うばかりです。
