埼京線で乗務員が行方不明だという情報がXで拡散され、話題に。
しかし、行方不明になった事実はなかったとJR東日本が公式に発表しました。
実際のところ、電車の遅れの原因にもなる乗務員確認とはなにが起きているのでしょうか?
今回は乗務員関係の電車の遅れについて、元電車運転士が詳しくお話しします。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
電車の遅れの原因「乗務員確認」とは?
乗務列車の時間の勘違い
乗務員は常に次の乗務列車の時間を気にしていますが、それでも人間なので時間を勘違いすることがあります。
何度も行路票を確認したり、腕時計やスマホのアラームをかけるなどそれぞれ対策をしています。
起床遅延
朝の時間帯の乗務員確認は仮眠室での寝坊の可能性も考えられます。
鉄道会社では仮眠室に絶対起きられると言われている起床装置を設置していますが、それでも二度寝をしてしまうとどうしようもありません。
乗り継ぎ場所の勘違い
時間は合ってても上りと下りを間違えたり、番線を間違えてしまうことがあります。
この場合には運行情報にでるくらいまでの遅れにはならないでしょう。
遅れの影響で乗務列車に乗り継げない
電車がすでに遅れている場合によく起こります。
上り電車が大幅に遅れているのに下り電車が時間通りに動いていたりすると、乗務員が乗り継げないのです。
できるだけそのようなことのないように手配するのですが、電車の本数が多い路線では遅延時にそこまで手がまわらないというのが現状です。
乗務員が忘れ物をした
乗務員は鍵類や規定類などを忘れると乗務できません。
このような場合には電車を止めたまま取りに戻るか、職場から持ってきてもらったりします。
電車の遅れの原因「乗務員体調不良」とは?
読んで字の如くです。
腹痛によりトイレに行くことが一番多い原因だと思います。
より症状が重く、乗務員が救急搬送された場合には「乗務員急病」と案内されたりします。
乗務員の交代が必要になった場合には乗務員を手配し、乗務員職場からその駅まで移動してこなくてはならないので大幅に電車が遅れることになります。
このように運転士の場合は乗務員の交代が必要ですが、車掌の場合は違います。
車掌がいなくても回送電車では運転できるので、お客さんを降ろして回送電車として運転再開させることになります。
電車の遅れの原因「乗務員トラブル」とは?
乗務員の勘違いによる乗り遅れや体調不良などをまとめて乗務員トラブルと案内している鉄道会社もあります。
トラブルというと喧嘩をしているような印象もあるので、個人的には乗務員確認や乗務員の体調不良という言葉を使用した方がいいのでは?と思います。
あとがき
今回は乗務員関係の遅れの原因について詳しくお話ししました。
乗務員は時間や体調に普段から気をつけてるわけですが、ひとたび電車が遅れるとニュースになるなど社会的に影響が大きい仕事です。
大変さを知っているからこそ寛容な世の中であってほしいという気持ちと、電車の遅れは社会に与える影響も大きいので非常に難しい問題だなと感じました。