電車が遅れた際、遅れが少なくなったり無くなったりするのはなぜなのか?
今回は電車が遅れた時、電車の運転士はどのようにして遅れを取り戻すのか、遅れを取り戻しやすい時間帯はいつなのか?解説していきます。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
電車の運転士はたった5秒の遅れでも取り戻すように努めている
電車の運転士はたった5秒の遅れでも、遅れを取り戻す運転をします。
距離が短い駅間では5km/hスピードを上げる、長い駅間では2km/hスピード上げるなど、距離に応じて上げるスピードをどのくらいかを考えて運転しているのです。
たった5秒の遅れだとしても、蓄積すれば大きな遅れになってしまうので、少しの遅れでも早めに対処します。
このように、電車の運転士が電車の遅れを取り戻すためにする運転方法を回復運転といいます。
1分以上の遅れの取り戻す方法
常に最高速度や制限速度のギリギリで走行します。
イメージ的には車のレースで良いタイムを出すような運転です。
直線では最高速度を出し、カーブのギリギリでブレーキをかけ、カーブを抜けたら加速します。
距離感や限界を知っていないとできない運転なので、ある程度経験を積んだ運転士でないとできない職人技です。
通勤時間帯は遅れを取り戻しやすい
通勤時間帯は急病人や荷物挟まりなどさまざまな理由で電車が遅れやすいので、ダイヤに余裕を持たせてあります。
そのため、スピードを上げれば遅れが戻りやすく、1駅で1分遅れが戻ることもあります。
昼間時間帯は遅れを取り戻しにくい
通勤時間帯とは逆に昼間時間帯はダイヤに余裕がありません。
スピードを上げても1駅で10秒遅れを取り戻すのがやっと、という感じです。
また、遅れを取り戻すのには運転士の運転だけでなく、車掌のドア扱いの早さにも関係してきます。
車掌のドア扱いが早ければ、1駅で20秒ほどの遅れを取り戻すことも可能です。
昼間時間帯に遅れを取り戻すのには運転士と車掌の息のあった連携が必要なのです。
たった20秒かもしれませんが、10駅で3分以上も遅れが戻ることになります。
通勤時間帯と昼間時間帯のダイヤの違い
上述したように通勤時間帯はダイヤに余裕があり、昼間時間帯はダイヤに余裕がありません。
実際どのくらいの差があるのでしょうか。
まず代表的な路線、JR山手線では通勤時間帯の大崎発8:00の電車が一周するのには67分かかります。
それに対して、昼間時間帯の大崎発12:00の電車は一周64分なので3分早く一周していることがわかります。
しかし、山手線以上に差の大きい路線があります。
たとえば、足の長いJR東海道線。
通勤時間帯の小田原発6:33の電車が東京駅まで91分かかるのに対し、昼間時間帯の小田原発12:28の電車は東京駅まで80分で到着し、実に11分も差があるのです。
通勤時間帯にいかにダイヤに余裕を持たせてあるのかがわかると思います。
まとめ
今回は電車が遅れた時、電車の運転士がどのように運転しているか、通勤時間帯や昼間時間帯の違いについて解説しました。
運転士によっても取り戻す遅れが違うので一概にはいえませんが、少しでも参考になると嬉しいです。