よく電車の混雑率200%とかいうけどどんな状態をいうの?そもそも電車の定員は?最大で何人まで乗れる?
そんな素朴な疑問から、電車運転士目線からでは混雑率が運転にどのように関係してくるかなど、今回は電車の混雑に関してお話ししていきたいと思います。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
電車の乗車定員は?
JR東日本で主流のE233系で説明します。
電車の定員は座席に座る54人、吊革とドア付近の手すりにつかまった立ちの106人を合わせて160人です。160人乗った状態が乗車率100%となります。
運転台のある車両は客室が少し狭いので座席40人、立ち95人を合わせて定員135人になります。
この定員はサービス定員といい、これ以上の人を乗せても安全上の問題はありません。
現在はホーム部分より上をワイドにした幅広車が主流となっており、乗せられる人数が昔のストレート車に比べると増えています。
電車の混雑率の目安
乗車率100%
【引用:日本民営鉄道協会ホームページ】
座席に座れるか、吊革につかまれるか、ドア付近の手すりにつかまることができる状態です。
乗車率150%
【引用:日本民営鉄道協会ホームページ】
肩がふれ合う程度で新聞が楽に読める状態です。
首都圏の通勤ラッシュでは乗車率150%ほどの路線が多いようです。
乗車率180%
【引用:日本民営鉄道協会ホームページ】
体がふれあうが新聞は読める状態です。
乗車率200%
【引用:日本民営鉄道協会ホームページ】
体がふれあい、相当な圧迫感があるがスマートフォンなら何とか見られる状態です。
乗車率250%
【引用:日本民営鉄道協会ホームページ】
身動きがとれないほどで手を動かすことも困難な状態です。
乗車率300%
体が圧迫され、息苦しく、命の危険も感じるほどの混雑です。
私も乗務中に乗車率300%を見たことがあるのは数回だけです。
電車には最大何人乗る?
運転台にあるモニターでおおよそのお客さんの乗っている人数と乗車率がわかります。
床下の空気バネの圧力の変動によって乗っているお客さんの重さがわかる仕組みです。
私が実際に見たことあるのは1両500人が最大です。10両で5000人、15両だったら7500人乗っていることになります。
ぎゅうぎゅうで全然ドアも閉まらなかったので、1両に500人が電車に乗れる限界の人数ではないでしょうか。
混雑率で電車の運転は変わるのか?
上述したように乗っているお客さんの重さは車両側で把握しています。
その把握した重さに応じて、加速力やブレーキ力を調整する応加重装置というものが電車には備わっています。
加速ではお客さんが多いときは限流値を下げ、加速力を上げます。
限流値を下げるというのは車で考えると、回転数を上げて変速することで加速力を上げるのと同じ考えになります。
ブレーキではお客さんが多いほどブレーキ力を上げます。
停車中に運転台のブレーキシリンダ圧力を見ると、空いてるときと混んでるときとでは明らかに差があるのがわかります。
このように、応加重装置が備わっていることで電車の運転士は混雑率をほぼ意識せずに運転することができるのです。
あとがき
今回は電車の混雑に関わることについてお話ししました。
私は古い電車から新しい電車まで運転しましたが、昔の電車は応加重装置が備わっていても車内が混んでくると明らかに加速力やブレーキ力が落ちました。
新しい電車は本当に混雑率を考えずに運転できるので今の電車ってよくできているなとつくづく感じます。
そして、私が普段から疑問に思っていたのはよくこんなにお客さんが乗っていても電車やレールは無事だなってことです。
60kgの人が1両に500人乗ったら30tですからね。それに耐えられる鉄道って純粋にすごいなって思います。