動力車操縦者運転免許の取消・免停条件とは?処分基準を解説

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動力車操縦者運転免許の取消基準

今回は少しマニアックですが、電車運転士の免許である「動力車操縦者運転免許」の取り消しや免停の条件について解説します。

運転士の免許には非常に厳しい基準が設けられており、違反内容によっては一発で免許取消となるケースもあります。

多くのお客さんの命を預かる仕事だからこそ、その基準は想像以上にシビアです。

ファルコ

ファルコ

1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。

この記事の目次

一発で免許取消となる違反

まずは条件関係なく免許取消になる非常に重い違反について紹介します。

酒気帯びでの操縦

アルコールが残った状態で列車を運転する行為は、最も重い違反のひとつで一発で免許取消となります。

そのため、乗務前にはアルコール検査が義務付けられています。

▶ 電車の運転士のお酒事情とは?

条件処分内容
酒気帯びでの操縦免許取消

麻薬・大麻・覚醒剤などの影響下での操縦

麻薬・覚醒剤・大麻などの影響により正常に運転できない状態も一発取消です。

条件処分内容
薬物影響下での操縦免許取消

無免許での操縦

運転免許を持たずに列車を操縦した場合も、免許取消処分となる違反です。その後、免許取得しようとした際にも影響する可能性があります。

ただし例外もあり、見習い運転士が乗務する場合は、横に「指導操縦者」が同乗していれば免許は不要です。

また、本線に支障のない側線での運転についても免許は不要で、鉄道会社が行う運転体験などはこのルールに基づいて実施されています。

条件処分内容
無免許での操縦免許取消

その他の違反と免停・免許取消の処分基準

ここからは事故の有無や死傷者数の規模によって処分が変わる違反です。

事故が起きてないと処分なしになるものもありますが、故意・重過失の場合は処分が発生します。

薬の影響での操縦

風邪薬や花粉症の薬など、眠気を伴うものも対象になります。

病院では運転士であることを伝え、眠気成分のない薬を処方してもらうようにする必要があります。

条件処分内容
事故なし原則なし
死傷者なし免停30日
負傷者10人未満免停90日
負傷者100人未満免停180日
死亡または負傷者100人以上免許取消

運転席を離れた場合

正当な理由なく運転席を離れる行為は重大な違反です。万が一、離れる場合は必ず列車を停車させる必要があります。

条件処分内容
事故なし免停30日
死傷者なし免停90日
負傷者10人未満免停180日
死亡または負傷者10人以上免許取消

速度超過(30km/h以上)

大幅な速度超過は重大な違反として扱われます。

万が一速度超過した際は防護無線を発報し、線路、車両の点検をおこなわなければなりません。

条件処分内容
事故なし原則なし
死傷者なし免停90日
負傷者10人未満免停180日
死亡または負傷者10人以上免許取消

速度超過(30km/h未満)

電車の運転では1km/hの超過だから許されるということはなく、大きなミスとなります。

制限速度には信号、曲線、車両など様々な種類があり、非常に複雑です。

▶ 制限速度の種類を詳しく見る


条件処分内容
事故なし原則なし
死傷者なし免停30日
負傷者10人未満免停90日
負傷者100人未満免停180日
死亡または負傷者100人以上免許取消

退行運転

独断での退行運転は保安装置が働かず、後続列車と衝突する可能性のある危険な行為です。

条件処分内容
事故なし原則なし
死傷者なし免停90日
負傷者10人未満免停180日
死亡または負傷者10人以上免許取消

停止信号を越えて運転(場内・出発・入換信号機など)

これらの信号機の先は線路が合流するなど重大な事故が起こりやすく、特に重い処分となります。

条件処分内容
事故なし原則なし
死傷者なし免停90日
負傷者10人未満免停180日
死亡または負傷者10人以上免許取消

停止信号を越えて運転(閉そく信号機など)

重大な信号機よりは軽い扱いですが、それでも重大な違反です。

条件処分内容
事故なし原則なし
死傷者なし免停30日
負傷者10人未満免停90日
負傷者100人未満免停180日
死亡または負傷者100人以上免許取消

運転中の私用携帯電話使用

私物の携帯電話の使用は処分対象となり、会社の信頼を失墜させる重大な違反です。

条件処分内容
事故なし免停10日
死傷者なし免停30日
負傷者10人未満免停90日
負傷者100人未満免停180日
死亡または負傷者100人以上免許取消

矯正眼鏡条件違反

メガネのかけ忘れなども処分の対象となります。

普段メガネをかけておらず、運転中にだけかける人は要注意です。

条件処分内容
事故なし免停10日
死傷者なし免停30日
負傷者10人未満免停90日
負傷者100人未満免停180日
死亡または負傷者100人以上免許取消

会社から運転士に対しての処分について

これらに該当した場合、免許の行政処分とは別に会社からの懲戒処分を受ける可能性があります。

特に運転中の携帯電話の操作、酒気を帯びた状態での運転は会社の信頼も失墜する行為であり、懲戒解雇の可能性があります。

懲戒解雇とならなくても行政処分に関係なく、運転業務から外されるなど仕事に大きな影響が出ます。

会社から処分を受ける具体的な行為

免許の行政処分に該当しなくても、会社独自の判断で処分を受けるケースがあります。

居眠り運転

故意ではない居眠り運転でも、運転士としての適性を欠くと見なされ、他職種へ異動となる可能性があります。

携帯電話以外の物の使用

免許の違反行為としては私用携帯電話の使用が挙げられますが、それ以外でも運転中に不適切とされる行為は処分の対象となります。

例えば、ゲーム機やスマートウォッチの操作、私用の本の閲覧など、運転に集中していないと判断される行為は会社から処分を受ける可能性があります。

ハンドルから手を離す

運転席から離れていなくても、ハンドルから手を離す行為は咄嗟の対応ができず危険です。

このような行為が確認された場合、会社から処分を受ける可能性があります。

保安装置の独断操作

ATSなどの保安装置が動作した際は、本来は司令所へ連絡し指示を受ける必要がありますが、それを行わず自己判断で操作してしまう行為です。

保安装置は安全に直結する重要な設備のため、独断での操作は重い処分となる可能性があります。

執務態度が悪い

お客さんとのトラブルが多い場合や、運転中の姿勢・態度について苦情が繰り返される場合は、運転士から外される可能性があります。

ミスが多い

負傷者がでるような重大な事象でなくても、勘違いによるオーバーランや遅刻などのミスが続くと、適性に問題ありと判断され、他の業務へ異動となることがあります。

隠蔽と虚偽報告

どんなに小さな事象であっても、隠したり虚偽の報告を行った場合は、会社から厳しい処分を受けることになります。

何か起きた際は、速やかに正確な報告を行うことが何より重要です。

実際に周りで処分者が出ると辛い

私も運転士として働く中で、このような処分を受ける人を何人か見てきました。

数日間の教育を経て乗務に復帰できるケースもありますが、中にはそのまま運転士の職を外れてしまう場合もあります。

それまで同じ職場で働いていた仲間が、一度のミスで運転ができなくなったり、異動していく姿を見るのはとても辛く、かける言葉も見つかりません。

故意であれば仕方ないと割り切れる部分もありますが、そうでない場合は職場の雰囲気もどんより重くなり、精神的にもきついです。

あとがき

運転士の免許や処分についてはあまり知られていませんが、その基準は非常に厳しく、安全を最優先に考えられています。

一つひとつの行為が大きな事故につながる可能性があるため、現場では細かなルールが徹底されています。

この記事を通して、運転士という仕事の責任の重さが少しでも伝われば幸いです。