【引用:東急電鉄公式ホームページ】
電車の運転士の持っている重そうなカバン、何が入っているのか気になりませんか?
今回はそんな電車の運転士のカバンの中身について紹介していきます。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
電車の運転士のカバンの中身
運転士の持っている基本的な持ち物について紹介します。
乗務する路線や鉄道会社によっての違うのと、運転士によっては持ち物の一部を制服のポケットに入れて携帯するものもあるのでご了承ください。
運転士時刻表
乗務列車の時刻が載っており、乗務中はこの時刻表を確認しながら運転します。
運転士行路票と言ったりもします。
線路図
乗務路線のどの位置に信号機や速度制限、勾配があるのかが一目でわかるものです。
ダイヤ
【引用:JR東日本公式ホームページ】
正式には列車運行図表と言います。
乗務路線の全ての列車の駅の到着時刻や発車時刻が一目でわかるもので縦軸が駅名、横軸が時間で列車は線で表されます。
乗務日誌
【引用:東武鉄道公式ホームページ】
徐行区間や仕事の中で注意する点を仕事前に抜粋して書いておく日誌です。
点呼で管理者と照合して事故防止をしています。
ブレーキ弁ハンドル
【引用:東武鉄道公式ホームページ】
電車のブレーキ部分を操作するハンドルです。
いまでは見る機会が減りましたが、旧式の車両を運転する運転士はこのブレーキ弁ハンドルを持ち歩きます。
構内図
車庫の中の信号の位置や配線がわかるものです。
車庫はその日によって通る線路が違うので、運転士は構内図をよく確認しながら入換をおこないます。
懐中時計
【引用:東武鉄道公式ホームページ】
電車の運転をするときに確認する時計で、乗務する前に職場の時計と合わせて管理者との照合もおこないます。
鍵類
【引用:東武鉄道公式ホームページ】
電車の運転士は乗務員室に入るための鍵と電車を動かすためのマスコンキーという鍵を持っています。
運転取扱実施基準
法令を元に各鉄道会社が定めたもので、電車の運転士はこれを持参していないと乗務できません。
通告受領券
指令所から運転線路変更、時刻変更、運行変更などの通告があった際に様式に従って記載するものです。
通告は間違えると大きな事故にも繋がりかねないため、きちんと受領券を見ながら復唱をおこないます。
人身事故用メモ
人身事故が発生したときに記載し、警察や会社に提出するものです。
発生した時刻や場所、状況などを事細かく様式に従って記載します。
持ってはいてもできるだけ書きたくないものですね。
マニュアル類
職場によってさまざまなマニュアルがあり、乗務する路線のルール、停止位置の場所、喚呼の方法、非常時の取り扱いマニュアルなどがあります。
乗務しているときにわからないことがあったときに確認したりします。
業務用携帯電話
運転士が線路に降りたときに指令所との通話をしたり、職場との連絡をするために使います。
懐中電灯
夜間の出区点検や事故があったときに使います。
夜の線路は暗く、灯りがないと何も見えないのでとても重要な持ち物になります。
非常食
電車はいつ運転見合わせになるかわかりません。
遅れてしまうとご飯が食べられない場合も多々あるので、カロリーメイトなど賞味期限が長めの食べ物を持っている運転士が多いです。
着替えや洗面用具
泊まり勤務が多いので、着替えや洗面用具などを持っています。
私物は別のカバンに入れて持っている運転士も多いです。
電車の運転士の持ち物の電子化
【引用:JR東日本公式ホームページ】
最近は紙からiPadなどへの電子化が進んでおり、資料や運転士の時刻表も紙ではなく電子化されている鉄道会社も多いです。
電子化によってコスト削減になるだけでなく、資料の更新が容易になったり、何より持って行く物が減ってカバンが軽くなります。
電子化のデメリットとしては資料を探すのに時間がかかったり、iPadなどの故障で電車が運行できなくなったりするおそれがあることです。
あとがき
今回は電車の運転士のカバンの中身について詳しくお話ししました。
さまざまな持ち物がありますが、電車の運転に必要なものを忘れると命取りとなりかねません。
電車に遅れがでたり、会社から処分を受けることにもなります。
ですから電車の運転士は職場をでるとき、電車から降りた時に忘れ物がないかを念入りにチェックします。