2024年5月29日、各鉄道会社より現在の磁気乗車券からQRコード乗車券に順次移行していくことが発表されました。
今回はこの発表の詳細、QRコード乗車券のメリットやデメリットなどをお話ししていきます。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
QRコード乗車券とは?
切符を改札機に入れずに切符に印字されているQRコードを改札機の読み取り部分にかざすことで改札を通ることができる乗車券です。
ディズニーランドなどテーマパークではQRコードのチケットが主流になっていますね。
QRコード乗車券を導入する鉄道会社と時期
導入を予定しているのはJR東日本、東武鉄道、西武鉄道、京浜急行電鉄、京成電鉄、新京成電鉄、北総鉄道、東京モノレールの8社です。
導入時期は2026年度以降順次とされています。
QRコード乗車券のメリット
(QRコード対応準備の改札機)
リサイクルがしやすくなる
従来の磁気乗車券は材料に金属を含んでおり、廃棄するときに分離させる必要があり、手間がかかっていました。
QRコード乗車券では材質を紙のみにすることもでき、リサイクルがしやすくなります。
券詰まりがなくなる
改札機に投入しなくていいので券詰まりがなくなります。
磁気乗車券では汗で濡れてたり、折れてたりするとよく券詰まりが起こります。
取り違えがなくなる
改札機では切符を取り違える人が多くいます。
よくあるのは後ろの人が投入した切符を前の人が間違えて持って行ってしまうことです。
後ろの人は切符がなくなってしまうので、取り違えが発生すると駅員が対応をしたりけっこう大変なのです。
改札機の構造を簡素化できる
これは鉄道会社にとって一番大きなメリットではないでしょうか。
切符を投入しなくていいので、改札機内の構造を簡素化でき、故障のリスクを下げることができます。
また、700万ほどするという改札機自体の価格も安くなるでしょう。
QR乗車券のデメリット
時間がかかる
実はSuicaの読み取りスピードが0.2秒に対してQRコードは0.035秒とQRコードの方が断然速いのです。
しかし、QRコードは読み取り部分への角度や距離などの微妙な調整が必要で、従来の磁気乗車券より改札機の通過に時間がかかります。
ただ、今は多くの人がSuicaなどのICカードを利用しているので改札が大渋滞したり、そこまで大きな支障は出ないのではないでしょうか。
使用済みの切符をどうするのか
QRコードの切符の場合、改札機に切符を投入しないので回収も自動でされません。
改札口付近に回収箱を置くか、お客さん自らがゴミ箱に入れるしかありません。
リサイクルにも関わってくるので割と大きな問題かと思います。
QRコードが汚れた場合
QRコードが汚れなどで崩れてしまった場合はどうなのでしょうか。
実はQRコードには誤り訂正機能というものがあって、QRコードに多少の誤りがあってもそのまま通過できるそうです。
あとがき
今回はQRコード乗車券についてお話ししました。
QRコード乗車券にはメリットが多くデメリットが少ないので、一気に導入が進みそうですね。
鉄道会社としては改札機のコストが下がるのが一番のメリットではないでしょうか。
Suicaの導入でもだいぶ減りましたが、改札機に切符を入れるという光景もいつか見られなくなりそうですね。