
最近、「倒木」のニュースを目にする機会が増えていませんか。
台風や強風だけでなく、木の老朽化による倒木も増えているといわれています。
一見すると鉄道とは関係ないように思えるこの問題ですが、実は電車の運行に大きな影響を与え、場合によっては重大事故につながるリスクもあります。
本記事では、倒木がなぜ増えているのか、そして鉄道にどのような影響を与えるのかをわかりやすく解説します。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
この記事の目次
1. 倒木・倒竹とは?
その名の通り、木が倒れる、竹が倒れることを指します。
原因は寿命だけではありません。
- 台風などの強風
- 豪雨による地盤の緩み
- 雪の重み
- 長年の老朽化
特に人工林では、同じ時期に植えられた木が一斉に寿命を迎えるため、倒木が連続して発生するリスクもあります。
2. 倒木が鉄道に与える影響|遅延・事故リスクとは
倒木は単なる遅れの原因ではありません。
2025年12月には秋田内陸鉄道で倒木に衝突し、列車が脱線・転覆、運転士が怪我をする事故が発生しました。
このように倒木は、
- 列車の遅延や運休
- 車両の損傷
- 脱線などの重大事故
といった、命に関わるリスクを含んでいます。
一見すると自然現象ですが、対策次第では防げるケースも多く、軽視できない存在です。
3. 倒木への対策
実はここで重要になってくるのが、運転士の感覚です。
日頃から同じ区間を運転しているため、
- 景色の違和感
- 木の傾き
- 標識や信号の見えにくさ
といった小さな変化に気づくことができます。
こうした異変を感じた場合は、伐採の手配を行ったり、必要に応じて列車を停止して安全確認を行います。
実際には、このような「いつもと違う」という感覚によって、未然に防がれているケースが多いのです。
4. 私有地の伐採は難しい
しかし、すべての木を簡単に伐採できるわけではありません。
特に私有地にある木は、所有者の同意が必要となります。
- 同意が得られない
- 連絡が取れない
- 対応が遅れる
といったケースもあり、結果としてそのまま放置されることもあります。
実際に、伐採できずに残された木が倒れ、事故につながった事例もあるようです。
一方で、市町村などが管理する森林については、緊急性が高ければ事後報告で対応できる場合もあります。
5. 意外に高い伐採費用
木の伐採には想像以上のコストがかかります。
- 高所での危険作業
- 重機や専門技術が必要
- 鉄道沿線では見張り員の配置
特に鉄道沿線では安全確保のための人員が必要となり、費用がさらに増加します。
現在、多くの鉄道会社はコスト削減の流れにあり、メンテナンス費を抑えている傾向があります。
そのため、事故が起こる前の「予防的な伐採」が十分に行えない現状もあります。
6. 実際に倒木があると
実際に線路上に倒木がある場合、対応は状況によって変わります。
- 小さな枝:乗務員がその場で撤去
- 大きな木:専門の係員を手配
後者の場合、係員の到着や作業に時間がかかるため、30分〜90分ほどの遅れになることも少なくありません。
また、発見が遅れればそのまま衝突してしまう危険もあります。
7. あとがき
これからも増えていくと考えられる倒木問題。
運転士の感覚によって未然に防げているケースも多いですが、自然が相手である以上、すべてを防ぐことはできません。
事故を防ぐためには、事前の対策と継続的な投資が不可欠です。
今後は、鉄道会社としてもより積極的に対策へコストをかけていくことが求められています。
