オフピーク通勤:鉄道会社が推進する本当の理由

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オフピーク通勤

JR東日本では普通の定期券より割引されたオフピーク定期券が販売されており、これからのオフピーク通勤、通学がどれだけ普及していくかが注目されています。

オフピーク通勤を推し進めるメリットや元鉄道員の私が考えるオフピーク通勤についての考察などを書いています。


ファルコ

1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。

鉄道会社が推し進めるオフピーク通勤とは?

オフピーク通勤とは混雑時間を避けて乗客が通勤、通学をすることです。

時差通勤(通学)ともいわれますが、コロナ渦でさらなる注目を浴びることになります。

テレワークなどのさまざまな働き方がはじまったり、感染症の感染リスク軽減などで通勤、通学する電車の混雑率の緩和を求める声は大きくなっています。

また、JR東日本では2023年3月18日よりオフピーク定期券を発売しており、オフピークに通勤することにより運賃を割引するサービスを開始しています。

オフピーク通勤を推し進めることのメリット

通勤・通学の快適性が上がる

言わずもがなですが、オフピーク通勤が普及すれば電車内の混雑率が下がることになり、快適性が上がります。

人が密着し合う可能性も減るのでコロナなど感染症に感染するリスクも減ります。

電車の遅れが減る

朝の通勤時間帯は乗客の乗り降りに時間がかかるだけでなく、乗客の荷物や体がドアに挟まったりすることで電車が遅れることは日常茶飯事です。

混雑率が下がれば乗り降りはスムーズになり、電車が遅れることが少なくなると思われます。

定期券が安く購入できる

JR東日本では普通の定期券と比べて安い価格でオフピーク定期券を販売しています。

2024年10月からは約15%の割引に引き上げになります。

購入する乗客にメリットがあったり、交通費を出す企業のコスト削減になったりとこれは大きなメリットだと思います。

働き方の多様性が推進される

こちらは特に国が推進したいことだと思いますが、時差通勤やフレックスタイムを活用することで仕事をしながら子育てや介護をしやすくなるといえます。

鉄道車両や乗務員の数が減らせる

こちらは鉄道会社のメリットですが、通勤時間帯にはたくさん車両と乗務員の用意が必要です。

オフピーク通勤が普及し、混雑率が低下すれば通勤時間帯の電車の本数と乗務員の数を減らすことができ、コストカットができます。

鉄道会社がオフピーク通勤を推し進める本音

上でも紹介しましたが、オフピークを推し進めることで通勤時間帯の混雑率が下がり、鉄道車両の数、乗務員の数を減らすことができます。

鉄道会社は固定費が非常に高く、これからの人口減少などで乗客が減ってしまうと割と簡単に赤字に転落してしまいます。

このような世の中の流れを見ると鉄道会社がオフピーク通勤を推し進めることは自然なことだといえますね。

JR東日本のオフピーク定期券の発売によって、混雑率低下、固定費の削減の流れができるようになったら他の鉄道会社も追随してどんどん導入されていくだろうなと考えます。

オフピーク通勤が普及することへの懸念

表面上は乗客の快適性向上やさまざまな働き方推進への貢献ではありますが、鉄道会社としては固定費を減らして経営していきたいというのが本音かと思います。

ですのである程度、混雑率が下がれば、電車の本数を減らすことになるので結果としては、乗客の利便性も低下してしまいます。

鉄道会社も将来にわたって利益を出していかなくてはいけないので、通勤時間帯のお客さんは減っても電車の本数はそのままというようなことはしないでしょう。

オフピーク定期券を導入しているJR東日本では割引率を2024年10月からは約10%から約20%に引き上げます。

なかなかオフピークへのシフトがうまくいってないのではないかと思います。

本音としてはもっともっと通勤時間帯の乗客を減らして車両と乗務員の数を減らしたい、というのがあるでしょう。

まとめ

オフピーク通勤は乗客からすれば通勤の快適性が上がるだけでなく、さまざまな働き方がひろがっていくなどのメリットがあります。

鉄道会社としても少ないコストで経営できるなど、オフピーク通勤は大きな取り組みであり、今後の日本のあり方へ与える影響は想像以上に大きそうです。

まずはJR東日本のオフピーク定期券の割引率引き上げによって、オフピークへのシフトがどの程度すすんでいくのか注目していきたいと思います。