電車を運行していると切っても切れないものとして、人身事故があります。
なかなか聞きづらい話しだけど気になっている方も多いはず。
今回は元電車の運転士が人身事故について詳しく解説していきます。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
電車の人身事故の発生件数
全国では毎年約1000件の人身事故が起きており、1日当たり3件もの人身事故が発生していることになります。
2023年ではJR東北線、JR東海道線、JR中央線が発生件数で上位となっています。
電車の人身事故の発生原因
主に自殺、線路に転落などです。
最近はホームドアが設置された駅が増えたこともあり、転落が原因の人身事故はだいぶ減っているものと思われます。
悲しいことですが、発生している人身事故のほとんどは自殺が原因ということになります。
電車の人身事故が発生しやすい時期
私が鉄道員として仕事をしていて一番人身事故が多いと感じたのが年末年始でした。
次に5月付近です。5月病なのかはわかりませんが、人身事故が増える傾向にあります。
これらのことから環境の変化のある時期に人身事故が多く発生しているようです。
電車の人身事故の生存率
データでは約5割の方が亡くなり、あとの4割が不明、1割が生存となっています。
しかし、私の知ってる限りでは8割以上の方が亡くなってる感覚なので、不明の方の大半は亡くなっているのではないかと思います。
電車の人身事故は運転士は罪になるのか
電車の運転士は前を見るだけでなく速度計や時刻表、信号など見るものがたくさんあるので人がいても気付くのが遅れることがあります。
ましてや夜間なら見えないこともあります。
何か異常を感じたのに止めなかったとなると罪になる可能性はありますが、今のところ罪になったという話は聞いたことはないです。
自動車と違って鉄道は特性上止まるまでに相当な時間がかかること、時刻表などの確認も義務づけられてることから基本的に運転士は電車を止めれば罪に問われるということはありません。
電車の運転士は人身事故でトラウマになるのか
トラウマになるかというとみんな少なからずなります。
少しの間思うように食べられなかったり眠れなかったりというのはよく聞く話で大体は数日で治ります。
運転中もホーム進入時が怖かったり、人が飛び込んでくるような気がするなどトラウマになる人もいますがそれも大体は数日で治ります。
中には人身事故を経験するともう運転士はやりたくないということで違う職種を希望する人もいます。
ただ、人身事故を経験してその日からもう乗務できませんという話は今まで聞いたことはないです。
運転士になるにあたってある程度は人身事故をやるという覚悟ができているのも大きいのかもしれませんね。
電車の人身事故の処理の流れ
基本的にはまず運転士が現場に駆けつけます。
意識があるかなど負傷者の状態を確認をします。
その後、警察とレスキューが到着したら本格的に救出を開始します。
乗務員が救出作業を手伝うこともありますが、基本的には運転士は車両と線路の点検、車掌は案内放送をします。
駅で発生したときには駅員も救出作業を手伝います。
救出作業が終わったら警察が現場検証などをおこない、運転再開となります。
なかには電車を少し動かさないと救出できない場合やジャッキアップを必要とする場合もありますが、そのようなときは運転再開までかなりの時間がかかります。
あとがき
今回は人身事故について詳しく解説しました。
電車に利用していて人身事故で遅れるとイライラするかと思います。
しかし、現場ではできるだけ早く運転再開させようと一丸となって救出活動をしています。
実情を知り、少しでもイライラが減っていただけたら幸いです。
そしてこのような悲しい事故が今後なくなっていくように願っています。