電車に乗っていると今日の電車、いつもより揺れるなぁとか、運転が下手だなぁ、と感じることがあるかもしれません。
今回はいつもより電車が揺れる7つの原因、また、そのような苦情が鉄道会社にあった場合どのような対応がおこなわれるのか、元電車運転士が詳しくお話ししたいと思います。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
電車の運転が荒い、下手だと感じる原因
見習い運転士が運転している
見習い運転士はシミュレーターなどで練習することなく、最初からお客さんの乗車した本物の電車で運転します。
ですから、最初のうちはブレーキの感覚がわからずどうしても不安定になります。
また、半年ほど経つと運転操縦の試験があるのですが、この試験の模範のブレーキというのが乗り心地の良いブレーキとは到底言えないのです。
8段階あるブレーキを3ノッチ→7ノッチ→5ノッチ→3ノッチ→1ノッチというように強めのブレーキを使うように指導されています。
強めのブレーキまで使ってブレーキ全体の感覚を覚えるという意味合いもあると思います。
単独で乗務すると最大でも5ノッチ、または6ノッチまでしか使わない運転士が多いです。
回復運転をしている
電車が遅れてるとき、電車の運転士は遅れを取り戻すために回復運転をします。
カーブや駅のギリギリまで速い速度で走行し、いつもより少し強いブレーキを使うことがあります。
定時運転と乗り心地、どちらもサービスだと思うので兼ね合いが難しいです。
雨、雪が降っている
雨や雪が降っていると滑走といって車輪がロックしたり、しなかったりして不安定な前後の揺れが起こります。
雨の降り出し、小雨時に特に不安定な揺れが発生しやすいです。
一時的なパンタグラフの離線
走行しているとパンタグラフが架線と一時的に離れてしまうことがあります。
力行中やブレーキ中に離線が起こると運転に使われてる電気が一時的に切れ、大きく前後に揺れます。
離線しやすい場所としては坂になっている場所、カーブなどです。
車両による原因
電車は電気ブレーキと空気ブレーキを併用しています。
基本的に電気ブレーキを使用するのですが、車のエンジンブレーキのように低速になると使えなくなるので、空気ブレーキがブレーキ力を補います。
このブレーキの切り替わりが不安定なものや揺れが大きくでる車両があったりします。
機械が制御しているブレーキ
最近はTASC、ATOなどコンピューターがブレーキを行うものが増えてきました。
人間が運転するより不安定になりがちで個体差もあります。
特に止まる瞬間に強いブレーキで停車することが多いです。
本当に運転が荒い、下手
わざと荒く運転する運転士はおそらくいません。
クレペリン検査や適性検査を合格していることもあり、そこまで気が短い人は電車の運転士にはいないと思っています。
ただ、下手な人は一定数います。
車の運転と同じでセンスがなく、どうしてもうまく運転できないという人はいます。
運転が下手という苦情があった場合の対応
このような苦情が会社にあったとしても電車の運転士が直接注意されるということはありません。
速度超過をしていたり非常ブレーキを乱用していれば別ですが、速度を守り、ブレーキも常用ブレーキなら会社も注意できないのだと思います。
上でも書きましたが、わざと荒く運転している運転士はいないという前提での話しです。
あとがき
いかがだったでしょうか。
電車がいつもと比べて揺れる原因として、運転士の運転による直接的な原因、天気や車両など外的要因があるという説明をしました。
少しでも電車の揺れへの不快感が減ってもらえたら嬉しいです。
電車の運転士は自分の運転にプライドを持って運転しています。
お互い違う運転をしていても尊重し合う雰囲気があります。
それぞれこだわりを持って運転しているところが電車の運転士の面白いところだなと私は感じます。