今回は電車の運転士が乗務前や乗務後におこなってる準備や点呼について詳しくお話しします。
お客さんから見えないところでの貴重なお話しですのでぜひ読んでみてください。
ファルコ
1970年生まれ。鉄道会社に入社し、駅員(1年)→車掌(3年)→運転士(30年)に従事。鉄道ファンだけでなく普段から電車を利用するすべての方が分かるような記事作りを心掛けています。
電車の運転士がまずおこなう準備
アルコール検査
アルコール検知器を使用してアルコールチェックをします。
すり替わりの不正のないように顔を映し出すモニターが設置してあります。
万が一アルコールが検知されるとその場で帰宅を命じられ、代替えの乗務員を至急探します。
アルコールが検知された電車の運転士はのちに厳重注意などの処分を受けることになります。
貸与品を借りる
時刻表、鍵類、ブレーキ弁ハンドル、業務用電話などを借ります。
忘れると運転できないものもあるので借り忘れがないように注意します。
時計を合わせる
日本の電車は秒単位で運転されています。
貸与されている懐中時計と職場にある親時計とで1秒もずらさないように合わせます。
徐行区間の抜粋
工事や線路の不具合などで徐行区間が設定されることがあります。
下り2k300m~2k850mまで35km/h以下というように詳しい場所と速度を抜粋して乗務手帳に記入します。
他山の石を抜粋
最近職場であったミスや注意すべきことを抜粋して乗務手帳に記入します。
内容は停止位置修正多発注意!!のような感じです。
電車の運転士が乗務前におこなう出発点呼
出発前に管理者と対面でおこなう点呼です。
点呼で実施することを順番に挙げていきます。
気を付け、敬礼
点呼は厳正なものです。
点呼のはじめは気を付け、敬礼をして「◯◯行路、◯◯(氏名)、出発点呼お願いいたします」と挨拶します。
健康状態を申告
「健康状態良好です」や「風邪気味です」などと伝えます。
眠気成分のある薬を飲むと省令違反になるので薬を飲んでいるかの確認もされます。
眼鏡の有無の確認
眼鏡、コンタクトレンズ、裸眼かの確認をします。
こちらも忘れてしまうと省令違反になるので念入りにチェックします。
徐行区間の照合
乗務手帳に記入した徐行区間を管理者と照合します。
徐行区間を速度超過しないための対策です。
乗務列車と注意点を照合
乗務する列車の列車番号や停車駅、注意点を申告します。
注意点は「快速電車の運転は停車駅に注意」「構内での入換運転は信号に注意」などです。
時計の整正
時刻を合わせた懐中時計を管理者と相互に確認します。
気を付け、敬礼
最後に気を付け、敬礼をして「点呼終わります、いってまいります」と挨拶をして出発点呼は終わりです。
電車の運転士が乗務後におこなう終了点呼
乗務を終えて管理者と対面でおこなう点呼です。
気を付け敬礼
気を付け、敬礼をして「◯◯行路、◯◯(氏名)、終了点呼お願いいたします」と挨拶します。
貸与品の返却
乗務前に借りたものを返却します。
うっかり返し忘れるとのちに職場から電話がかかってきたりして大変だったりします。
異常の有無を報告
途中で非常ブレーキで停車したり、急病人の対応などなにかあった場合には報告します。
列車の遅れの報告
遅れた列車があれば、遅れた理由と遅れを分単位で報告します。
次乗務の出勤時間の確認
電車の運転士は毎回出勤時刻がバラバラなので次の出勤時間を管理者と相互に確認します。
遅刻をしないための対策です。
気を付け、敬礼
気を付け、敬礼をして「点呼終わります、お疲れさまでした」と挨拶をして終了点呼は終わりです。
あとがき
今回は電車の運転士がおこなっている点呼について詳しく紹介しました。
お客さんから見えないところでも点呼は雑談もせず、厳正におこなわれています。
終了点呼で「異常ありませんでした」と報告するときが電車の運転士にとって一番ホッとする瞬間かもしれません。
それと同時にどっと疲れが出る瞬間でもありますが…。